最終回は、「で、結局どうなの?」という話を書きます。お金のこと、気持ちのこと、そしてこれから考える人へ。お金の話:儲かってはいない正直に書きます。会社を買ったからといって、自分の手取りが増えたわけではありません。人件費や原価を差し引いて自分に残る金額は、サラリーマン時代と大して変わらない。それが実感です。会社を経営すると、人を雇うことにかかるコストの大きさを痛感します。なので自分への報酬は控えめにして、その分を事業に回す。生活レベルはそんなに変わらないけれど、「儲かっている」という感覚はあまりない。そういう状態です。燃費は悪いサラリーマンのときと一番違うのは、仕事の時も仕事じゃない時も、常に稼ぎのことを考えていることです。「この仕事が進むか」より、「そもそもそれって金になるの?」を同時に走らせないといけない。それが365日、ずっと回っている。だから、燃費は悪いと思います。すごい熱をかけて回しているけど、そんなに成果が出ているわけではない。じゃあ嫌か、元に戻りたいか。そう聞かれると、積極的には戻らなくていいかな、と思います。大変だけど、こっちの方が向いているかもしれない。49対51。それくらいの差です。元の同期とは今も普通にランチを食べています。彼らの仕事の話を聞いて、私は今扱っている商材の話をして。一緒にできることがあればやるし、なくてもただの同期です。ちょっといい人になった一人で仕事をしていたときの自分は、好きなことと得意なことしかしていませんでした。楽しかったし、成長もしたと思います。でも、事業承継をしてビジネスの仕組みをごっそり引き受けたあとの方が、本当に大変で、すごく成長した。ちょっといい人になった気がします。人の面倒を見ないといけない。お客さんのことをもっと真剣に考えないといけない。知らない世界のことが多いと痛いほど感じる。自分の都合で判断するより、相手のことを思って、この取引だけではなくもっと先の取引も考えて、誠実な判断をしないといけない。そういうことを、48歳になって考えるようになりました。大きな挑戦ではなく、毎日の習慣40代は子どももいて家庭もあって、挑戦するにはためらう年齢です。「その中でなぜ決断できたのか」と聞かれますが、私の答えは「習慣だと思う」です。一つでかいチャレンジをしたから次のチャレンジが可能になる、というより、毎日コツコツ何かを変えるから、結果として何かが変わる。朝早起きをする。朝にブログを書く。散歩をする。何かを始めたいときは、何かをちょっと削る。その繰り返しです。コロナで「自分が変わらないとやばい」と思ったとき、やれることは大してなかった。じゃあ早起きするか。大きなストーリーは、そこから始まっています。だから今も、すごい大きなチャレンジをしている感覚はありません。一歩進むを繰り返しているうちに、周りも少しずつ変わってきて、自分ができることも少しずつ増えていく。これから考える人へ最後に。サラリーマンで、経営なんてしたことがなくて、でも事業承継に興味がある。「自分に回せるの?」と不安な人へ。あまり補正せずに言うと、会社は有限責任なので、失敗しても資本金の範囲で責任を取ればいい。命は取られません。そして、飛び込んでみないとわからない。とりあえず飛んでみて、その崖がどれくらい高かったかを体感すればいい。ただ、一つだけ。第1回に書いたことの繰り返しになりますが、ゼロから一を作るのと、走っているビジネスを続けて五を八や十にするのは、別の仕事です。サラリーマンは後者向きだと思います。どっちが正しいという話ではなく、こっちの方がやりやすい。そして今は、それをやるためのプラットフォームがちゃんとある。死なないんだったら、そっちの方が楽しくないですか。それくらいの気持ちで、私は今日も前オーナーと喧嘩しています。(了)※ 本コラムの内容は2025年3月時点のものです。